農薬は使わないほうがいい?農薬は危険?実はそうでもない理由
こんにちは。conです。
私の夫は農学部を卒業し、今農家になるために研修をしています。
農業の話を聞いていると、勉強になるし面白いと思います。
その中で自分の中の考え方が変わったこととして、今回は農薬の事について話をしたいと思います。
農薬は悪?
農薬って使わない方が良いと思っていませんか?
きっとそういう方も一定数いらっしゃるので、無農薬や有機栽培の農作物が、割高だけど需要があるのだと思います。
私も、以前までは農薬はできるだけ使わないほうがいいと思っていました。
でも話を聞いたり調べたりすると、そうとも言い切れないのかなと思うようになりました。
日本で無農薬や有機農産物があまり普及しないわけ
日本より有機農業が20年ほど進んでいると言われるヨーロッパなどでは、有機農産物(通称 Bio)が多く販売されています。
でも日本ではあまり進んでいる実感がないのではないでしょうか。
それは日本の気候がヨーロッパと比べて多雨多湿であるために、虫がついたり病気になりやすいことが挙げられます。
あと虫や病気もウイルスなどと同じで、農薬を使うことによって耐性ができてしまうことがあります。それは生態系を変えてしまうことになりますよね。
ヨーロッパの方たちは、生態系を保護するために農薬使った作物を避ける人たちが多いようです。(もちろん、なんとなく無農薬やBioを選ぶ人もいます)
農薬のメリット
農薬を使うことによって虫が付きにくくなったり病気になりにくくなります。
そしてそれは安定した収量を安く市場に流通させるために役立っています。
昔、農薬がなかったころ、天候が悪く作物が取れない年は神様にお願いするしかなかったようです。
農作物は今でも収穫量や品質は天候に左右される部分が大きいですが、農薬はそれを解決する一助になったんですね。
また、生産者視点で見てみると、無農薬の場合、虫がつくと近所の畑にうつってしまう可能性もあります。
近所の畑にしてみれば、自分の畑はちゃんと管理しているのに迷惑な話です…
無農薬は手入れが大変な分、労力がかかり、その分人件費などの経費かかります。
そのしわ寄せは価格に行くわけです。
なので無農薬野菜などは割高なんですね。
逆に言うと、農薬を使わなければスーパーに並んでいるような価格でいつも安定した量を供給できなくなってしまいます。
でもそれって国目線の話でしょ…無農薬の野菜が買えるお金があれば無農薬がいいに決まっている と思っている方!
ぜひ下まで読んでみてください。
農薬の安全性について
農薬は虫や病気をたたくものなので、同じ生き物である人間にも無害というわけではありません。
ただ、近年農薬も進化して、人体に害がない普通物がより多く、劇物や毒物の割合がより少なくなってきています(既に登録農薬の成分の約9割は普通物で構成されています)。
しかも国で登録されている農薬は、10年近い歳月をかけて開発され、人体に影響が出ない基準をよーーーく確認されています。
さらに残留農薬の基準も、そもそも人体に影響が出る値に対して、安全係数(100分の1)をかけて算出されているので、例え基準値の10倍の値の農薬が検出されたとしても、直ちに人体には影響が出ないよう安全性を保てるようになっているんですね。
農薬は体に蓄積しないのか
そうはいっても、少ない量でも積もり積もれば、いずれ害として何かしらの形で体に出てくるんじゃないかと思っている人もいるんじゃないでしょうか。
ウミガメの鼻にストローが刺さっていた映像は、世界中の人にショックを与えました。
それを受けて微小プラスチックが問題になり、いろいろな企業がプラスチック製品を使わないように解決に乗り出してますよね。
私も、農薬も同じように、いくら安全といっても残留農薬が少しずつ体に蓄積していくのではないかなと思っていました。
しかし、調べてみると、重金属であれば体内に蓄積されるものの、そうでなければごくわずかの量で、長期的に摂取したとしても、安全性には問題ないとのこと。
それに、DDTなど、体に蓄積されていくものは、日本では使用禁止されているそうです。
農業工業会のホームページで、農薬についてよくある質問をまとめてくれています。
農薬を使った作物を食べるとがんになる?
農薬は子や孫に濃縮され受け継がれる?
農薬はアトピーの原因になる?
そんな疑問について、根拠を示して答えてくれています。
根拠って大事ですよね…これがないと説得力がありません。
無農薬や有機農産物を選ぶ理由
では、どうして有機農産物や無農薬を選ぶ方もいるのでしょうか?
結論としては、イメージが先行していたり、ある種の思想に近いものかもしれません。
あと、心理的に、人間は考えるのを嫌います。
無農薬や有機物を選ぶ理由としては
「農薬を使っていないんだから、体に悪いものが入っていない」
というのが一番の理由ではないかな?と思います。
ほかにも
「周りが無農薬を選んでいるから」
「なんとなく」
などもあるかもしれません。
その考えを否定するつもりはありません。
人それぞれ、いろいろな考え方があっていいと思うからです。
先ほど紹介した農業工業会のページで
「農薬が原因で毎年多くの人がなくなっているのは本当でしょうか?」
という質問がありました。
日本人の死因の第一位は悪性新生物、いわゆる「癌」です。
癌の原因は遺伝的に癌になりやすかったり、たばこ、アルコールなどの環境要因だったりします。しかし、それらの要因がない人は絶対に癌にならないわけではなく、家族に癌になった人がいない・たばこもアルコールもしないという人も癌になります。
原因がわからないというのが釈然としないというか、なんとなく気持ち悪い気がするかもしれません。
それが今まで無農薬をやっていた人がそうでないものに切り替えたのなら、なおさらそう思ってしまうかもしれませんね…
でも残念ながら、人間は生きていれば必ず死にます(これが病院で働いていると、なぜか自分の親だけは死なないと思っている人がいる)。
いろいろなエピソード、人から見聞きした話などで、頭の片隅に「農薬=悪」と思っていると「農薬が原因で亡くなる」と結びつきやすいかもしれません。
そういうときこそ、自分の目でデータを見て、公平な目で見極めることが大切なのかなと思います。
まとめ(一番言いたいこと)
農薬について、安全なんだよ!ということをつらつら書いていましたが、
農薬はこんなに安全だから、スーパーに売っているものを安心して食べてね!と言いたいのではありません。
逆に無農薬や有機農産物を否定したりするつもりはありません。
無農薬の野菜しか食べない主義、という方はそれでいいと思います。
でも、選ぶなら「なんとなく」ではなく、きちんと自分なりに調べて、自分で考えて選ぶのがいいのではないかなと思います。
今は飽食の時代です。
食べるものはたくさんあるし、私たちは選ぶことができます。
「いいものだから高くても買う」というのはいいと思います。
その「いいもの」は何を以て「いいもの」とするのか、
イメージだけで見てはいないか、「高いもの」イコール「いいもの」なのか、
ということを農薬についてだけでなく、よく考えていきたいなと思います。
以上、「農薬は使わないほうがいい?農薬は危険?実はそうでもない理由」 でした!
では!